亜希が少しだけ顔を上げる。


視線が泳いだ後、こちらを見る。



目が合ったと思った瞬間。


亜希の手が伸びてくる。



その手が、

立ったまま覆いかぶさるように、

僕を抱きしめた。




その手は震えている。


あまりに突然の出来事に硬直する。