『…ジローちゃん?

どうした?』


「ちょ、風邪…」


『ママさんは?』

「旅行…」


『待ってて、行くわ。』



大丈夫、と言う前に電話が切れる。


携帯を枕元へ戻すと、体を起こす。



サイドテーブルに置いたスポーツドリンクに手を伸ばす。



距離感が掴めず、テーブルの端に手をついてしまい

バランスを崩した。



ガタンッ



音を立てて、サイドテーブルが倒れ、ペットボトルが床に落ちる。



床に体が放り出される。

「痛…っ」


けれど熱のせいなのか、
床のひんやりした感触が心地よく、そのまま再び眠りに落ちてしまった。