「どうして?捕まらないの?」
人間、悪い事や法に触れる事をすれば、普通なら捕まるのが当たり前で、自ら犯罪をしていると言ったシオンが何故捕まらないのか納得出来なかった。
だからと言って、別に捕まって欲しい訳じゃないけれど、純粋に疑問に思う。
「じゃあ聞くが、お前に虐待をした人間は捕まったのか?そいつらは罰を受けたのか?」
シオンの言葉に、胸がチクリと痛んだ。
「それとは違うじゃない……」
「同じ事だ。悪い事をすれば全ての人間が罰を受ける訳じゃない。」
「私は……子供だったの。それに誰も助けてくれなかった‼」
私は思わずイライラと小声でシオンに訴えた。
「それはお前が助けを求めなかったからだ。」
「……違う‼私は……」
「何が違う?お前は母親に怯えてたんだろう?あんなに傷だらけで警察に行けば直ぐに保護して貰えたはずだろ?何故それをしなかった?」
シオンの言葉に返す言葉が見つからなかった。
心臓が痛いほどに激しく脈打つ。
「話をすり替えないで。私は何でシオンが捕まらないか知りたいの!」
私は怒りに任せてついつい声を荒げた。
その瞬間、しまったと思ったけれど遅かった。
楽しそうに談笑していた全員が、一斉にこっちを向いてしまった。
「あーちゃん、どうしたの?」
きっと私のイライラは、見て分かるくらい態度に現れてたんだろう。
レオンがそう言って、不思議そうに私を見つめた。