「……満足か?」


なぜシオンがその事を私に教えてくれたのか、私には理解出来なかった。
一歩間違えれば、警察のお世話になるような事をシオン達はこの場所でしているのだ。


「……何でそんな事しているの?」

「俺にとっては仕事と同じだ。別にやりたくてやってる訳じゃないが。」

「やりたくないのに、何でそんなに危ない事をしているの?」

「……別に危ない事ではないだろ?」

「だってもし私が警察に言ったら、シオンは捕まるでしょ?」


そんなつもりはないけれど、やっている事が違法ならばいつ逮捕されてもおかしくないと思ったから、そう聞いた。

すると突然シオンは笑った。
いつもみたいに、冷めた顔で冷笑を浮かべただけだったけれど、私にはシオンが笑った理由が分からなかった。


「例えお前が警察に話そうが、残念ながら俺達は警察の世話になることはない。」

「……どうして?」

「それを知るのは、まだ早い。時期が来たらお前にも分かるだろうな。」


シオンはそう言って、テーブルに肘を立てて小さな顔を乗せて、完全に私の方に身体を傾けた。


背後で恵令奈が寂しそうな顔をしたけれど、私はそんな事すらもうどうでも良くなってた。

ずっと知りたいと思っていた、兄達がしている″悪どいこと″を直接聞いて知ってしまった。

だからと言って、何かするつもりもないけれど、益々シオンやレオンの事が分からなくなった。