だけれど人間には好奇心というものが存在するのだ。
私の場合は怖いもの見たさ、とも言うのだと思う。


「ただ、知りたいの。」


私がそう言うと、シオンはフッと鼻で笑った。


「好奇心旺盛なのは悪い事じゃないが。欲深い事は良い事じゃない。」

「どういう意味?」

「世の中知らなくて良い事もある。」

「でも知りたいの!」


私がそう言うとシオンはまたグラスに口をつけてから、視線を合わせた。


「何が知りたいんだ?」

「この場所は何をするための場所なの?」

「……取り引きだ。」


シオンの言葉に首を傾げた。


「何の取り引きをするの?」

「…………。」

「言えない取り引きなの?」

「いや、別に構わないが何でそんな事知りたいんだ?」

「……何でって?」

「それを知ってお前は何がしたい?」

「何がって言われても……ただ、知りたいだけ。」



私はそう言って、シオンの蒼い瞳を見上げた。


「あらゆる薬を取り扱ってる。海外からの輸入品だ。」

「……それって合法?」


私の言葉にシオンはまた片方の口角を上げて笑った。


「違法だとしたら?……お前はどうする?」


シオンのその答えで、それが違法である事は簡単に理解出来た。
私は何も言わずにシオンを見上げた。