前から"普通"の人じゃないとは思っていた。

だけれどそんな簡単に建物を買ったり、私の過去を色々と調べてるなんて、正直言って簡単に出来る事じゃないはずだ。

多分それは、あの子の事を調べたついでなんだろうけれどそれでも全てを見透かされている事には、誰でも恐怖を感じるだろう。

それに嘘を吐いても直ぐ見抜かれるならば、今までの私の行動も全て把握されているんだろう。


だったら下手に嘘を吐くよりも、聞いた方が早いのかもしれない。

周りは各々に楽し気に会話をしているけれど、私はシオンに寄り添ってその指先を自分の指先と絡ませた。

そして心臓がトクントクンと、小さく音を立てるのを感じながら、シオンの耳にそっと唇を寄せた。


「……あなたは一体何者なの?」


そう、私はその答えが知りたいのだ。
私が知っているシオンの事と言ったら、ママのお腹に宿って直ぐにこの国にやって来たと言う事と、頭が異様に良いと言う事くらいしかない。

自分の事は全て知られているのに、私は家族の事を何も知らない。

だけれどママだって、後ろ楯も無しにこの国にやって来ていたとしたら、こんな優雅な生活なんて絶対出きるはずがない。

そんな私の質問に、シオンは氷の様に綺麗な蒼い瞳をゆっくりと私の瞳と合わせた。

そして静かにこう言った。


「それを知ってどうする?」


確かにそれを知ったところで、私には何も関係はないんだろう。