その女性が飲んでから、各々がグラスを手にし始めた事に。
この女性は、おそらく毒味役なのだ。
しかも、私の分までレオンに言われて飲まされていたから、多分私の予想は外れてないだろう。
しかし、何故そんな事をしなくちゃいけない理由があるのだろう?
さっきレストランで食事をした時も、いつも家で食事をする時も、シオンもレオンも普通にご飯を食べているし、飲み物だって飲んでいる。
この場所だからそんな事をするのだろうか?
と、言うことはこの場所はシオンやレオンにとって安全ではないという事なのだろうか?
私は疑問に思いながらも、シオンの隣で大人しくそんな事を考えていた。
だけれど、どんなに考えても謎は深まるばかりで、私は我慢出来なくなってシオンに聞いてみる事にした。
オレンジジュースで喉を潤すと、シオンにピッタリと寄り添って耳元でこう聞いた。
「ねぇ、この場所は何なの?」
「……知りたいのか?」
シオンは私の方を向きもせずにそう言って、グラスに入ったお酒に口をつけた。
「うん、知りたい!」
私は素直にそう聞いた。
意地を張ったところで、逆にシオンは教えてくれないだろうと思ったからだ。
するとシオンの口から予想外の言葉が出た事に、私は驚愕した。
「この店は俺の持ち物だ。管理、運営は全て俺がやっている。」
普通ではないとは思っていたけれど、高校生であるシオンがまさか経営者であるとは思いも寄らなかった。