案の定、柴崎さんは爽やかな笑顔で私の質問に答えてくれた。
「これはドンペリのプラチナだよ。」
優しくそう教えてくれたので、私は更に興味津々になった。
ドンペリとはよく聞くお酒だけれど、私は今までお酒を飲んだ事もなければ、興味もなかった。
だからそれが幾らするものなのかすら分からないし、折角だから色々知りたくなった。
そしてその堂々とした高そうなボトルにほんの少しだけ飲んでみたいという願望が芽生えた。
刺青の男がタオルでしっかりと蓋を押さえて外すと、人数分のグラスにそれを注ぎ始めた。
途端にアルコールの匂いとフルーティーな匂いが混ざりあった香りが微かに漂ってきた。
炭酸のシュワシュワという音が耳に心地良い。
男は人数分のグラスにそれを注ぐと、全員にそれを配った。
私はシオンの目の前に置かれたグラスに興味津々だったけれど、何故かシオンは口をつける気配がない。
それに最初に口をつけたのは、あの空気が読める雰囲気の女性だった。
女性はそれを口に含むと、ゆっくりと飲み込んだ。
「あー、これも飲んで。」
レオンはそう言って、私のオレンジジュースを女性に手渡した。
女性は新しいストローを開けると、私のオレンジジュースをさっきと同じように口に含んでからゆっくりと飲み込んだ。
「問題ありません。」
女性はそう言って、私の前にオレンジジュースを返してくれた。
その瞬間、私はふと気がついた。