裏口の回りは何ヵ所か道があるようで、私はこの前通った道の方が明るくて安心だった。

だけれど今通った道も、よく見ればその隣にある道もきっと何処かに繋がっているのだろう。

まるでそれは何かあった時に用意されている逃げ道のような気がして、私はほんの少しだけ不安な気持ちになった。


そんな私の気持ちを知ってか知らずか先に到着したシオンは裏口の鍵を開けて、中へと入って行った。

扉が開いた瞬間、また軽快な騒がしい音楽が聞こえてきたけれど、この前入った場所に比べたら静かに感じるくらいの音量だった。

レオンに先に入るように促されて、私はその中に入った。

その後にレオンも直ぐに入って来て、また私の手を引いて人目に触れない位置から螺旋階段を上った。


VIPルームと呼ばれるこの場所は、この前やって来た時と変わらなかった。


黒檀のような艶のある大きなテーブルに、それを囲うように置かれた深紅のソファはとても高級感にあふれてる。

誰の好みなのかは分からないけれど、この場所は何だか大人っぽくて私は好きだった。

出来れば自分の部屋もこんな風な配色にしたいと思ったけれど、きっとママが心配するだろうからそれは諦める事にした。


天井から下がるシャンデリアの灯りがキラキラとしているから、余計に高級感があるのだろう。

私はふと、その場所全体を見回した。