つられるように、助けてくれた男の人も電車を降りてきた。
「ほんとにこれでよかったのか?警察に言っても全然良いことされてるんだぞ?」
「良いんです。あの人にも家庭があって、守らなくちゃいけないものもあるから、私なんかがあの人の人生を奪っちゃいけないですよ。」
「やさしいんだな。」
「そんなことないですよ!!」
その男の人がふわりと笑ったので、私も自然に笑顔になった。
「これからは、気をつけろよ」
「はい。今日は助けてくれて、ほんとにありがとうございます。私、白石みくるといいます。」
「神木蓮だ。名刺いるか?もし、何かわからないことや問題が起きたら、頼りにしてくれていいからな。」
「ありがとうございます。そういえば、この駅で降りてしまって大丈夫だったんですか?」
「気にしなくていいよ。俺、ここからタクシーで会社行くから。そっちこそ大丈夫?」
「きゃあ、遅刻だぁーー!!今日は本当にありがとうございました!!」
私は慌てて、ドアが閉じかけてる電車に飛び乗った。
「気をつけろよー!学校頑張って!」
「はい!!」