いつもよりとても時間をかけて夕飯を作っていると、蓮さんが帰ってきた。



「ただいまー。おっ、良いにおいじゃないか。今日の夕飯は何なんだ?」



「今日は、親子丼です…」



私は、蓮さんの顔が見ることが出来なかった。



今蓮さんの顔をみたら、泣いてしまいそうだった。



すると蓮さんがいきなり近付いてきて、私の顎をクイッと持ち上げた。



「どうした?大丈夫か?熱でもあるのか?」



蓮さんがとても心配そうな顔で聞いてきた。



私は、泣きそうな顔を見られたくなくて、慌てて顔を下げようとしたが、蓮さんがそれを許してくれなかった。



「熱なんてないです…」



「元気ないぞ。やっぱり熱あるんじゃないか?」



そういって、蓮さんが私のおでこを触ろうとした。



しかし、この手で彼女さんを抱いていたのかと思うと、どす黒い感情が湧き上がってきて、気がついたら、思わず蓮さんを突き飛ばしていた。