この日はとおると話込んでたおかげで、帰るのが遅くなってしまった。



しまった…。早く夕飯作りに帰らなきゃ…



少しスーパーで買い物してから、早歩きでマンションに向かって歩いた。



近道で帰ろうと思って、治安は悪くないのだがラブホ街なので、普段は通ることのない道を歩いていると、蓮さんの後ろ姿が見えた。



蓮さん!って叫ぼうとしたときに、蓮さんの隣にとても綺麗な女の人がいることに気がついた。



次の瞬間、その人が蓮さんに抱きついてキスをした。



私は手に持っていたビニール袋を足元に落としてしまった。



そーだよね…ここはそういうことをする場所だから、ここに蓮さんがいるってことは、彼女といるってことだよね…



身体が硬直してしまって、なかなかその光景から目を離せないでいると、その女の人と目が合った。



その人は私に向かって微笑んだ。



その人の目には、私の蓮さんへの気持ちなんか見通していて、私は彼のものなのよと自信に溢れているようにみえた。