蓮さんと一緒に住み始めて、早くも二週間が過ぎた。
土曜日、この前のように、一週間稼いだ分のお金を持って、とおるとお母さんを訪ねた。
「ただいまー!」
「おかえりー、ねえちゃん。」
お母さんは元気そうで安心した。
「そうだ、これ、お金…」
私は封筒に入った、二十一万円をとおるに渡した。
とおるは封筒の中を見て怪訝な顔をした。
「ねえちゃん、この前も二十一万円持ってこなかった?この前は、貯めてたお金を一気にくれたのかなっと思ってたけど、またこの額って…これ、すごい大金だよ?」
「……」
「もしかして、何か変なことしてる?ねえちゃん。」
とおるは泣きそうな顔をしていた。
「ある家で住み込みで働くって言ってたから、お金持ちな、ある家族の家で働いてるのかなって、思ってたけど、ある家って家族じゃなくて、一人暮らしの男とかだったりしない?何か、ヤバいことしてないと、一週間バイトで二十一万円なんて稼げないよ。」
「…………」
「ねえちゃん!!」
もしここで本当に、男の人と二人で住んでると言ったら、蓮さんがどんな人だかいくら説明しても、とおるは信じてくれないだろう。
私は笑顔を作って、
「もちろん、お金持ちの家族の家で働いてるんだよ。男の人はいるけど、子供も奥さんもいるから大丈夫。自分専用の部屋もあって、頑丈な鍵もかけられるから安心して。」
とおるはまだ怪訝そうな顔をして「それでも二十一万円はないだろ…」とかブツブツ言っていたが、もう追求してくることはなかった。