「おい、何してるんだ?おじさん」
急に手が離れていった。助かった…
ありがとうございますと言おうとして、顔を上げたら、
今まで見たことのないくらいかっこいい男の人が立ってた。
「あなたがしていることは犯罪ですよ?警察呼びますよ?」
その綺麗な男の人(20代後半くらいだろうか)が言った。
「すみませんでした。あまりにも可愛いかったので、出来心だったんです。妻も子もいます。どうか、見逃してください」
その言葉で私はようやく痴漢犯を見た。
40代くらいのフツーのサラリーマンだった。
「もうこういうことは二度としないで下さいね。」
そういって、私は電車を降りた。