ある日、いつもと同じように神木さんの家に行って、部屋の掃除をしていた。



廊下を掃除しようと思ったら、廊下の壁に、腕を組んだ神木さんが寄りかかっていた。



「神木さん?どうしたんですか?」



神木さんは何も答えなかった。



いつもと違う神木さんの態度に不安を覚えた私は、神木さんに近づいた。



「みくるちゃん、ここで住み込みで働かない?」



「え………」



「家に帰らないで、ここでずっと働いて、朝食やお弁当も作ってくれないか?一日三万円にしてやるから。」



神木さんが、こっちを伺うようにみてくる。



なぜか、神木さんがとても必死な気がした。



「君はお金が欲しいんだろ?君の弟もお母さんと2人で生活出来るだろうし。君にとって利益しかないと思うが…」



神木さんはやさしいから、私の事を可哀想に思ってこう言ってくれてるのだろう。



「君に拒否権はあるのか?自分の状況を考えてみろ。お母さんや弟さんどうなるんだ?」



別に私は、断るつもりはなかった。



それどころか、蓮さんと一緒にいられるのが嬉しかった。



しかし、蓮さんは私が断ると思ってるらしかった。



「いいんですか?よろしくお願いします。」



そういうと、蓮さんは一瞬顔を歪めてから、微笑んだ。



こうして、私は蓮さんの家に住み込みで働くことにした。