「神木さん、そろそろ帰ります。」



「車で送るよ。家どこ?」



「全然大丈夫です。私一人で帰れますよ。気にしないで下さい。」



「こんな時間に女の子がひとりで歩いちゃ危険だよ。とくに、みくるちゃんはね。みくるちゃんが、何と言おうがここは送らせてもらうよ。」



神木さんの家で働いて気づいたことがある。



神木さんは意外に強引だ。



でも、そんな強引なところにキュンときている私は重症なのだろう。



「じゃあ、お願いします。」



神木さんはマンションの地下にある駐車場に、私を連れてきてくれた。



そこには高級車が立ち並んでいた。



「これが俺の車だよ。」



その中でも一際目立つ車が神木さんのらしい。



「うわっ、高そう。」



神木さんは目を細めて笑っていた。