夜遅くて、カフェなどはどこも開いてなかったので、2人でラーメン屋に入った。
「んで、どこであったんだあの人とは?」
「あの人は、私が働いているお店のお客さんです。いつも、私を指名してくれて……」 私は、はっと口をつぐんだ。
「指名って… お前、どこで働いてんだ?!」
「あの、私は…。」
私は言葉を詰まらせた。
私は思わず泣き出してしまった。
神木さんが、恐い雰囲気を出していたからではない。
やっぱりこの仕事は私には、いっぱいいっぱいだったのだ。
神木さんは目を見開いて突然泣き出した私を見ていた。
私は自分の置かれた状態を全て神木さんに話した。
話しているうちに、だんだん胸のつっかえがとれていく気がした。
神木さんは最後まで静かに聞いてくれた。
「大変だったんだな…」
彼が、泣いて顔を手で覆っている私をいたわるように頭を撫でた。