ー佐々木和葉saidー
今年は歌の方に回りたいなぁ…。
私は、中学1年、2年と、伴奏者だったから、みんなと一緒に歌うっていうことをしたことがなかった。
「推薦で決めまーす。5分ほど時間をとるから、みんな考えてー。」
そういって、龍ちゃん達は席に着く。
龍ちゃんは、小学校が同じで、中学校になって同じクラスになったのは二回目。
確か、去年、龍ちゃん指揮者だったよなぁ…。
そう思って、私は、指揮者の推薦を龍ちゃんの名前を書いた。
「ねぇねぇ、和葉!今年も和葉が伴奏やりなよ!」
そう言って、荒川 咲希(あらかわ さき)ちゃんが私のところにきていう。
周りのみんなもそう言って、名前を書き始める。
私、また去年みたいになるのは嫌なのに…。
去年、私は夏休みの課題が終わらず、先生に足を引っ張ってると言われ、学校を一週間ほど休んだ。
最終的には、学年で優秀賞を取ることができたけれど、今年はそんなことをしたくない。
「あの、私…。他の子のがいいと思うよ…。下手くそだし、足を引っ張っちゃうかもだし…。」
絶対こういえば、みんな考え直してくれる。
「え?そんなの気にしなくて大丈夫だよ!」
「そうだぞ!あれすっげぇ難しそうじゃん。」
「あんなの弾けるの佐々木しかいねぇって!」
「私達も、練習付き合うから!」
なんだろ。これ。結局、私がやれってことになってないかな!?
そして、結局、多数決で、私が伴奏者に決まり、龍ちゃんが指揮者に選ばれた。
「よっしゃー!みんなで、最優秀賞目指すぞー!」
「「「おー!」」」
放課後になり、先生からCDと楽譜が配られ、みんなそれぞれ部活や自宅へ向かった。