え‥‥なんで私の名前知ってるの?
スーツを着てるところを見ると、多分ここの生徒じゃない。
「あの‥‥どちら様ですか?」
恐る恐る尋ねると、男は少し寂しそうな顔をした。
「あれ‥‥覚えてないの?‥それは残念だな」
セフレや、一夜限りの相手じゃなければちゃんと覚えている。
って事は、一回そういう事をした相手なのだろうか。
それなら私の記憶になくても納得できる。
「えと‥‥名前‥は?」
果たして名前を聞いて思い出せるのだろうか。
「牧原 裕太。君の高校で保健医してたんだけど」
保健の先生‥?
まさかそんな人が声をかけてくるなんて思ってもなかった。
それと同時に、身体の関係を持った人との記憶を遡った自分が醜く思えた。
「え‥牧原先生?」
「やっと思い出してくれた?」
彼は少し嬉しそうに笑った。