過去の後悔と、これからの不安をぬぐえないまま、1時間が経った。
陸から「来て」と連絡があり、再びアパートへ向かう為に歩き出す。
いつかこの生活から抜け出す日を信じる事しか、今の私には出来なかった。
「もしもし?着いたよ」
家の前で陸に電話をすると、すぐ玄関のドアが開いた。
靴を脱いで上がろうとした瞬間、激しいキスをしながら服を脱がし始めた陸。
「ちょっ・・陸・・。せめてベッド行こうよ」
「わり・・今日優しく出来ねぇわ」
いつも優しくなんかないくせに。
私たちに、お互いを思うなんて事はないから。
ベッドに入ってからも、陸の一方的な行為は変わらなかった。
それでも感じてしまうのは、私がМだからだと、陸が前に教えてくれた。
たぶんそれは間違いないだろう。
激しくなる程に私の身体は相手を求めてしまう。
愛がなくても感じることが出来る身体で良かったと何度思っただろう。
思いやりのない行為は、1時間とかからずに終わる。
服を着ながら、ふと部屋を見渡す。
意識して見た事がなかったけれど、陸の部屋には、彼女との写真やプリクラが飾られている。
私の見たことがない陸の優しい笑顔。
写真から伺えるのは幸せそうな二人なのに、なんで陸は浮気なんかしてるんだろう。
理由は聞いたことがない。
ただ、一つ聞きたかった事はある。
「ねえ陸・・。もしさ、陸の彼女が今の私みたいに、誰とでも関係をもつ女の子だったらどうする?」
「いきなりなんだよ?彼女が浮気してたらって事?」
ありえねぇと笑いながら流す陸に対して、私は真面目に続けた。