「映画も観た事ですし、そろそろ帰りましょうか」
「...あぁ...。じゃあ、車に戻ろうか」
話は終わってないし、納得もしていない雰囲気を出しつつも先生は帰る事を了承してくれた。
でも、これ以上先生と時間を共にしたくない。
車に戻ったところで、帰り道に深く追求されるに違いない。
高校の時の私を知っているから、いつか汚いところがバレるんじゃないかと思うと怖い。
「いや、これから予定があるし、ここで大丈夫です」
今日はありがとうございましたとお礼をつげ、私はその場から逃げるように立ち去った。
後ろで呼び止める声を聞きながらも、振り返る事もなく映画館を後にした。
追ってこない事に安心したと同時に寂しさも感じながら...。