なんで・・・夢じゃなかったの?!










「新担任の天神 流慰(あまがみ るい)です。よろしくお願いします」







ルシュフがニセの名前を言うと、女子たちはキャーキャーと騒ぎだした。










眼鏡をかけたルシュフは、昨日より大人っぽく見えて、なによりなんか・・・先生っぽい。









「そして今日、転校生がこのクラスに入ってきます。入ってきていいよ。」




ルシュフがドアの方を見て手招きする。













転校生かぁ・・・面倒くさい奴じゃないといいけど。










そして入ってきたのは






「吸血 茜(きゅうけつ あかね)です。よろしくお願いします。」





黒い髪の男子。女子たちがまたキャーキャー騒ぎだす。


何人かの男子は「うっせー女子!!」と言いながらどこか悔しそうな表情。













でも面倒くさそうな奴じゃなくて良かった・・・






「じゃー・・・吸血さんは花野さんの左隣の席に座って下さい」




「はい・・・」






うわー・・・いきなり転校生の隣って・・・何か嫌。
















そして転校生が席に座る。















''よろしく~☆,,とかは言わない。あっちが言ってきたらしないことは無いが・・・






「やぁ、君が花野さんか・・・よろしくね」



あぁ・・・言われたら言うしかないか。




「あぁ・・・ええっと吸血さん?よろしく」




「吸血とか堅苦しいのはいいよ。茜って呼んで」




いきなり呼び捨てで呼べと・・・





「よ、よろしく、茜・・・」






「そーだ心。よくできました。これで初対面で呼び捨てで呼べた男子は俺ってことだね。
そして初めて呼び捨てで呼ばれた男子も、俺ってことだ」






・・・え、・・・は?何コイツ?














ギュ・・・










?!手を、握られた?!









「これで心と初めて恋人つなぎしたのも俺だ。そーだ、ここまでしたんだし俺たち恋人同士になっちゃう?」




は?そんな、じょ・・・じょ・・・




「冗談じゃない!!誰がアンタと?!初めて会ったばかりなのに?!」





私はそう怒鳴ったが。茜は笑って、





「あはは・・・確かに俺ら、出会って間もないね。じゃあ、帰りカフェ行かない?二人っきりで」



「行かない。私帰り用事が・・・」



「無いんでしょ?冷たいなぁ。いいじゃんか。コーヒーおごるって。」




うーん・・・コーヒーか・・・




「私、ココアの方が好き」



「じゃ、ココアおごるから」




「なら・・・行く・・・」



私がそう言うと、茜は満足そうに



「じゃ、決まりだな」



と言った。











多分だけど、断っていても、私がOK出すまで誘い続けていただろう。