――――で、冒頭に戻るわけだ。
毛布を握っていた手が震える。
耳元で西藤の気配が消えない事に
心臓が早鐘を打っていて騒がしい。
「柳瀬…、
目を閉じないで俺を見て…?」
「……っ…!」
そっ…と頬に添えられた彼の、手。
カァ…と添えられた頬に熱く、
熱が集中する。
「…さ、さいと…う…」
「…奈央、俺を見て…?」
「……っ」
狡い、名前を呼ぶなんて。
しかも、耳元でなんて、
こいつ絶対に狙ってる。
「奈央…?」
「……っ、狡い…っ」
じとり、熱くなっているであろう顔のまま、瞼を開けて彼を恨めしげに瞳に捉える。
途端に、嬉しそうに緩く口許を上げる彼。
―――ギシリ…。
また、彼との距離が近くなる。
「……何で、泣いてたの?
誰かに何かされた?」
違うよ、そう込めて緩く首を振る。
「じゃあ、どうして…?」
それは……
「…ん?」
言ってごらん?そう言っているように思えて、キュゥ…と胸が甘く締め付ける。
「……何で」
「……」
何で、
「……っ、彼女さんはいいの?」
「……え?」
私に構うの…?
お互いに学校では、
干渉しないんじゃ、無かったの――…?