――――1時間前。




本日最後の学校登校が終わり、
明日から冬休みという今日この頃。


クラスメイトだけでなく、
全校生徒が若干浮き足立っている中。



私は一人、げっそりとしていた。



「……大丈夫か?」


「心が折れた…」



心配して、机の上でぐったりする私の顔を覗きこむのは舞桜とひーちゃん、そして舞桜と同様の高校からの親友の佑ちゃんと亜美。


亜美に声を掛けられた私は、
半泣き状態で答える。



……流石に、あれは堪える。



「まぁ…鶏嫌いの奈央ちゃんにしてみれば、鶏の頭部解剖頑張った方だよ」



そう言って、偉い偉いと頭を撫でてくれたのは佑ちゃん。


佑ちゃん、生物とって無いけど優しい!



「だねー。奈央、本当に辛そうながら頑張ったよ。面白かったけど」



そう言いながらニヤニヤ笑うのはひーちゃん。


実験の班が同じだったから色々と助けてもらって感謝してるのに最後余計だよ!!



「まぁ、それほどショッキングだったんだよね?鶏頭部解剖が」



皆の言葉に苦笑しつつ言う舞桜の言葉に、私は力なく頷いた。




―――…そうなのだ。



私がこんなにげっそりしているのは、今日の生物で行われた、鶏頭部解剖のせい。


あの、無駄にイケメンな生物教師が、脳の構造を実際に見た方が分かりやすいし手っ取り早いとか何とかほざいてたら、本当に解剖して脳の構造を見ることに。


しかも、よりにもよって、私の中でこの世で一番嫌いな動物の鶏の頭部解剖。


5、6時間目を解剖実験に当てたあの時間、
私は地獄を見ているようだった。


そして同時に、あの生物教師を抹殺とはいかなくとも、若干の殺意を覚えた。


因みにヤツは私が鶏嫌いなのを知っている。



…何故、知っているのかは謎だが。