―――キンコーン、カーンコーン。
授業の終わりの鐘が校内に響き渡る。
生徒達は席を片付けながら立ち上がり
思い思いに生物室を後にする。
―――…西藤とは、 一度も目を合わせなかったし話さなかった。
だけど、特に気にすることはない。
だって“私達”にとっては
それが当たり前なのだから。
―――学校での私達は、
お互いに干渉しないようにしている。
どちらかが決めてそうなった訳ではない。
自然とそうなったのだ。
暗黙の了解とも取れる、その行動。
でも、そのお互いの行動に、
別段不満はない。
それに…別に付き合っている訳でもない。
友人としての付き合いはしているが。
だけど何処か、
普通の男女間の友人とは違う私達の関係。
セフレ…なのか、分からない。
と言うよりセフレは否定したい。
彼は、私の大切な人だから。
彼は、私の友人であり、この関係になる前から好きだった人だから。
…好きだと自覚したのが、この関係になってしまった時だったのがとても悲しいが。
でも、本当に大切で大切な存在だから
必死に『セフレ』ではないと
違うと否定している。
体の関係はある。
だけど曖昧な関係の私達。
それが何時も堪らなく、苦しくて
辛い。
私は、彼の何なのか
分からなくて苦しいんだ。