だから、私がこんな気持ちを持つのは
きっとお間違いだ。


それに私は、
二人の過去に関係のない存在。


関係のない、存在なんだから。


気にしてちゃ、いけないんだ。




パラリ、生物で使用しているノートを開く。


左隣では、ひーちゃんや他の友達の楽しそうな笑い声が聞こえる。


黒板前では、翔先生が説明を交えながら
授業を進めていくのが目に映る。


時折、翔先生が適当に誰かを当てながら、黒板に答えを書くように言っている。




―――いつもの、日常だ。




ホッ…と静かに溜め息をつく。


そして私は無言でシャーペンを握り、ただ無心でノートに黒板で書かれていることを写すことに専念しようと、気持ちを切り替える。



だけど、それは
あっさり覆される。








「―――西藤」








その言葉に、
ドクン…心臓が重く脈を打つ。


ハッとして、ノートに
向けていた視線を上げれば――…






「―――…っ」





“あの人”が、そこにいた。