ベシッ!と何かで叩かれた頭。

地味にじわりじわりと痛みが広がる。



私は、負傷した頭をテキスト類を持っていない方の手で擦りながら。



痛みの原因を作った根元に目を向け不服な顔を向けた。



「翔(ショウ)先生、痛いです!

私、これでも女なんですから
もっと優しくして下さい!!」



翔先生は私の言葉にニヤリ、
意地悪な黒い笑みを浮かべた。



「…女、ねぇ?」


「な、何ですか」



先生の漆黒の双眼が長い睫毛に縁取られた瞼の奥から私を見詰める。


と言うより、若干品定め的な視線。
気分悪い事この上ない。


ワックスで固められてない、
清潔感ある綺麗な黒髪がさらり、揺れる。


くそ…、
何でこの先生は無駄に格好いいんだ。


真っ白な白衣に纏われた長身の体は、彼の無駄に格好いい外見をより際立たせて余計、先生の視線が居たたまれない。



「…先生、一体何なのですか」


「うん?いや、柳瀬(ヤナセ)が自分の性別を“女の子”じゃなくて“女”と位置付けたのにかなりの違和感を感じてただけだ。さほど気にすることでもない」



気にするわ。



と言うより。



「……先生、酷い」


「酷くねぇだろうが。お前にはまだ、“女”の魅力がないし、俺からしたらお前はガキ。“女の子”だ」


「……」



私の嘆きを容赦なくぶった斬る、
我校一の毒舌イケメン教師。



……こいつが生物教師なんて、世も末だ。



生物には何の罪もないけども…。