「ごちそうさま。」


朝ご飯を食べ終え、食器を台所に戻す。


「あっ、架純!これ今月分の月謝!ちゃんと渡しといてね。」


お母さんは思い出したように、部屋に戻ろうとするあたしに塾の名前が印刷された封筒を渡す。


「あっ……ありがと…。」


罪悪感……。


封筒を受け取り、足早に部屋に戻った。


ごめんね…お母さん……。


あたしは今日塾に行かない…。


塾には用事ができたと嘘をつき、もうすでに今日あたしは休むことになっている。


…まぁ用事といえば用事なんだけど……。


「デート……。」


カアァァ……!


この響きがくすぐったい。


人生初のデート。


カレカノでもないのになに舞い上がってんだろ……あたし…。

 
親にはバレちゃダメだから、学校にはちゃんと行ってから、放課後デート。


そして塾が終わる時間に別れて、いつもの時間に家に帰ることになっている。


あたしに気をつかって、弘樹くんが考えてくれたプランだった。