「俺…中崎さんが好き。付き合って。」
は?無理。
って言いたいのをぐっと堪える。
「えっ……。」
ここで私は顔を真っ赤にします。
間違っても「どこに?」なんてやらない。
そんないかにも天然ですってセリフ、みんな疑うでしょ?
廊下だからきっとみんな聞いてる。
「あの…気持ちはとっても嬉しい。
でも私、松井君のことよく知らないし…。
それに、お付き合いとかよくわからなくて。
だから、えっと…ごめんなさい。」
大抵はこれで身を引くはず。
だけど。
「でもさ、付き合ってわかるってこともあるんじゃない?」
松井君は笑顔でそう言った。
しつこいなぁ…。
でもそんなときは、私のお友達が助けてくれます。
「ちょっと!」
ほらやっぱり。
バンとドアを開いて現れたのは、うちのクラスの女子数名。
「嫌がってんじゃん。」
「しつこいんだよ。」
「さいてー。」
「チッ」
そうすると松井君は逃げていった。
割と顔はいい松井君はモテるから、周りが気になるんでしょーけど。
「美奈ちゃん、大丈夫?」
「うん…。ごめんね。
でもちょっと松井君に悪かったかな…。」
「そんなことないよ!松井が悪いんだし!
美奈ちゃんは気にしなくていいんだよ!」
「うん。ありがとう。」
これ何回目だよ(笑)
めんどくさいなー。
ちらっと香織の方を見ると苦笑い。
私の性格知ってんでしょ。
まぁ、この性格も学校で生き延びるため。
仕方ないかなー。
「あ、もう8時半!」
雛ちゃんが叫んだ。
すると一斉にみんな教室へ戻ってく。
8時半からは朝の読書タイム。
先生が来るからちゃんと読書をしなくちゃ怒られる。
だからか、みんな時間になると全力ダッシュで席に戻るんだ。
みんないなくなってその場には私と香織だけ。
「教室行こっか。」
私はそう言って教室へ入った。
香織もそれに続く。
私はこのとき、『私に落ちない男子はいないよね』と心の中で思ってた。