そして、今また、マーリンの目の前で口ゲンカは続いている。

「…とか言いやがって!お堅いにもほどがあらぁ!」
「お前の王子としての自覚の無さよりはマシだ!」
「!このヤロ…」
「やるか!?」

「…ゴホン。」

「テメーのその顔、明日は城に来られないくらいにしてやる!」
「出来るものならやってみろ!まだまだ初心者のくせに!」

「2人とも落ちつ…」

『黙ってろ!!』

2人がそう怒鳴った瞬間、その場の空気は完全に凍結した。
口ゲンカに夢中で我を忘れた哀れな若者達は、静かに血管を浮かび上がらせるマーリンを目の前に硬直した。
よりにもよって、国王に『黙ってろ』とは…

その後、中庭でお揃いのたんこぶを頭に、草むしりをする2人の背中を見つめ…

「全く…昔のシルフェリアとポムを見ているようじゃな…」

その2つの背中の行く末に、笑みがこぼれるマーリン国王だった。