「!?・・・起きて・・・たのか?」

裸の背中はいつもと同じで暖かい。
心はここに無くても、体はここにある。
今、すがりつくように抱きしめるのは、私の方だった。

「・・・帰る。」

「・・・また、来てくれる?」

腕をほどかれ、こっちを見ない彼に言う。

「こんな男に2度と会いたかないだろ?」

自嘲気味に口端を歪める。

「そんな事っ・・・」

「プロの女が客にそんな顔すんな。」

そう言ってドアの向こうに消えた彼の目は、最後までこちらを見ることは無かった。