「それにしても、アフタヌーンティーに行きたいとか、いつから女子らしくなったんだよ、小夜。」
まるで親戚の親父のような物言いをする久我に、さすがにキレたのか水無月は思い切り足を踏んづけた。
「いっづぅ・・・・・っ!!」
「けっ。」
スタスタと水無月は先を行く雪見の元へとかけていってしまった。
「悪い!悪かったって!生まれたときから女子でした!!」
水無月は普段大人しい性格をしているというのに、久我からこのような発言を受けたときだけ別人に変わる。
唯一、素が出せる相手ということだろうと、雪見は同級生のことながらも微笑ましく感じた。
「本当、あの二人仲が良いですよね・・・。」
「うん、そうねー。」
知恵が感心したような声を上げたので、雪見がそちらに向き直る。
雪見は、もっと会話を広げるつもりだったのだが、知恵の表情によって食い止められた。
ほんの一瞬、知恵はどこか悲しそうな表情をしたのだ。
(あれ、こんな顔・・・前にも何度か見たような・・。)
雪見は、知恵の表情にデジャヴを感じながらも、そこまで気にすることもなく歩を進めていった。