陽気な鳥の口笛が耳をくすぐり、雪見は自然と目を開く。

ふと目をやった机の上には、昨夜の封筒。

「ホテルからの、紹介文とかだったのかしら・・。」

昨日は結局睡魔に推し負け、ホテル名を調べようとしていた決意は打ち切られてしまった。

調べようと電子辞書に手を伸ばせば、すぐさま部屋のインターホンが鳴り響いた。

髪をさっと手で整え戸を開くと、春人が立っていた。

「朝食、八時半からだから、その時間に二階のバイキングな。」

「分かりました。」

春人は、すぐに隣の部屋へまた伝言を伝えに行った。

「琴野先輩、今さらですけど、室内に電話あったじゃないですか。あれ、部屋番号打てば電話できますよ?」

昨夜の夕食の件でも思ったのだが、と雪見は笑う。

「なんか、壊れてるのか分からないけど・・。どこにかけても通じないんだよなぁ。」

「あ、そうですか・・・。後でフロントに言っておいたほうが良くないですか?」

「お、そうだな。サンキュー。」

そう雪見に手を振ると、すぐにホテル内用のスリッパで春人は隣室へパタパタと走っていった。