「じゃがポッテ!」
「かるんとじゃがーる。」
「いやポッテだって!」
「じゃがーるにかなうポテトスナックなんて存在しねぇよ。」
「いや、何の話なのよ。」
第三理科室。
通称、ホラ研の聖地。
そのやけに古びた引き戸を開いた、ホラ研二年、雪見香由(ゆきみ かゆ)は後輩二人の唐突な会話に無意識にツッコミを入れた。
「あ、チーッス!」
「何って、どっからどう聞いても世界1美味いポテトスナック討論ですけど。」
雪見は、「運動部か」と脳内で本日二度目のツッコミを、元気に挨拶した一年の男子、加山昴(かやま すばる)にくらわせる。
そして、しれっとこちらを見下すような発言をした同じく一年男子、暮山叶(くれやま かない)に軽く殺意を覚えた。