凛ちゃんの家は、学校から徒歩で20分くらいの距離にあるらしい。その場所は駅から少し先に行った場所らしいので、帰りはいつも駅に着くまで一緒だった。
私は電車通学なので、いつも駅でバイバイするのが毎日の日課だったけれど、二人で歩く駅までの道のりはなんだか凄く短く感じる。
この日は、この前食べたお菓子の新商品について凛ちゃんは熱く語っていた。
私はそれを聞きながら相槌を打つ。
私達の会話は毎回そんな会話ばかりだけれど、変に考えたりすることがないからとても楽だし、楽しかった。
凛ちゃんはクールだけれど、表現がとても豊かなので駅に着く頃には、私はそのお菓子を食べた事があるんじゃないかってくらい、そのお菓子のイメージがすっかり出来上がっていた。
「じゃあ、日曜日にメールするね!」
駅について改札を通った私に、後ろから声を掛ける凛ちゃん。
私は振り返って凛ちゃんに手を振る。
「うん、待ってるね。」
私がそう言うと、凛ちゃんも笑顔で手を振った。
暫くお互いバイバイしていたけれど、電車がやってくる音が聞こえて来たので、私は慌てて駅のホームに出る階段を上がった。
「転ぶなよー!」
背後からそう言った凛ちゃんの声が聞こえた気がして、チラッと振り返ったけれど、そこにはもう凛ちゃんの姿はなかった。