大きな手で口を塞がれ、まだ子供のように小さな身体だった私は、いとも簡単に捕らえられて、近くに止まっていた車に押し込まれた。

目視出来たのはそこまでで、車に乗せられて直ぐに私は何か布のような物で視界を塞がれた。


耳障りな男の声。
目が見えないので正確には把握出来なかったけれど、多分4人くらいは居たと思う。


下品な笑い声に下品な会話。
車が動き出すエンジンの音。


自分の置かれている状況を把握するのは、そんなに難しい事じゃなかった。


「大人しくしてね、分かってるでしょ?」


誰かが私を押さえ付けたまま、耳元で囁いた。

私は黙って頷いた。
この状況から逃げ出すことは無理だろうと、瞬時に理解出来たし、何より暴れて殴られたりするより、されるがままにした方が余計な怪我をしなくて済むだろうと思った。


痛いのは好きじゃない。