感情を表に出さない私にとって、虐めは大した問題じゃなかった。
だから普通に学校に通っていたし、誰かに話すこともしなかった。
物を捨てられても、壊されても、また買えば良かったし、小さな怪我はすぐに治った。
私を虐めて居た子達の名前すら私は知らなかったけれど、それは後に起こった大きな事件がきっかけで知ることになる。
それは、虐めが始まってから2ヶ月が過ぎた頃の事だった。
いつものように学校が終わると、ピアノ教室に向かった私。
道路沿いの道を少し足早に歩いていた時の事だった。
一瞬の出来事だった。
私は何が起こったのか分からなかった。
突然背後から伸びてきた大きな手がいきなり私の身体の自由を奪ったのだ。