「まぁ、アンナにはピアノがあるから、勉強はそれが終わってから考えればいいね。受験前になったら見てあげるよ。」
「うん、お願いします。」
レオンの言葉にほっとする。
今はピアノのことだけで精一杯なので、これから勉強しろなんて言われたらどうしようかと思った。
その後は二人でお菓子を食べながら、レオンの話を聞いて時間だけが無駄に過ぎていく。
レオンの話は専ら、学校で起こったことやシオンの学校での様子などが中心だった。
シオンとレオンが通っているのは、私達の住む地域では一番の進学校と言われる男子校だった。
その学校に興味はないけれど、私はただ笑顔で相槌を打っているだけで良い。
自分の事を聞かれるのが嫌な私にとって、こうやって話題を振ってくれるレオンとの時間は苦手ではない。
正直眠たかったけれど、睡眠は学校でも取れる。
それならレオンの気が済むまで話を聞いている方が良い。
ほんの少しでも、家族の為になることはなんでもするように心がけている私にとってはそれは苦痛ではなかった。