「お前らいい加減にしろよ。」
なぜ笑われてるのか、意味が分からない私に代わって和也がそう言った。
「冗談抜きに、あんま構うなよ。」
和也が真剣にそんな事を言ったので、皆笑うのを辞めて和也と私を交互に見た。
「え?本気なのか?」
「本気もなにも大真面目だ。」
「嘘だろ?」
「いや、本気。だから、お前らちょっかい出すなよ?」
和也は真剣にそんな事を言った。
私はどうして良いのか分からずに、ただ俯いたまま和也の手をぎゅっと握っていた。
「マジかぁ、そりゃおめでたいね。」
愁がニヤニヤしながら冷やかしたけれど、和也はそんな事は気にしてない様子で、全員に向けてこう言った。
「まぁ、時間ねぇからとりあえず夜にでも話すわ。じゃあな!」
和也はそう言って、私の手を握ったままゆっくりと駅に向かって歩き始めた。
「りょーかい。月島さんバイバイ。」
後ろから聞こえて来た知らない声に、小さくペコリと頭を下げて、手を振る愁に手を振り返した。
「ごめんね、アイツら友達なんだけど、時間無いから今度ちゃんと紹介する。」
「……あ、うん。」
「ちょっとうぜーけど、みんな良いヤツだからさ。」
和也はそう言って、また優しく笑った。