私はすかさず、その人から顔を逸らした。
だけれど、私のその行動は先読みされていたらしく、突然反対に現れたその人とばっちり視線が合ってしまった。
まじまじと見つめられると、なんだか見世物にされている気分だった。
「つーか、月島マジ可愛いな。」
顔を逸らした私を気にもしてないように、その人はそんなことを言う。
「可愛いだろ?」
「うん、たまに貸して。」
「絶対無理。」
「何だよ、真面目かよw」
「大真面目だよ。」
和也とその人は冗談混じりにそんな会話をしていたけれど、私は早くこの場を離れたくて仕方なかった。
なぜなら、そうでなくても目立つこの人達と一緒に居るせいか、帰宅途中の同じ学校の生徒達が、やたらとこっちを見ていることに居心地の悪さを感じたからだ。
正直言って、私は和也と一緒に来たことを後悔し始めていた。
「かなう、なんで和也と付き合うことになったの?」
帰りたくてそわそわし始めた私に、愁が突然話し掛けて来た。
あどけない笑顔は一昨日と同じで、私は一瞬気が緩んだ。
「なんでって?」
「和也に強引にされちゃったの?」
何を?って聞こうと思った瞬間、また皆が笑いだした。
私は意味が分からなくて、多分キョトンと間の抜けた顔をしていたに違いない。