「今日は4時くらいからピアノ行かないと。」

私はなるべく平常心を保って、ちらりと横で眠る凛を見ながらそう言った。

凛は気付いたら小さく寝息を立てている。

「マジか、俺も今日スクールだ。ピアノって週何日くらい行ってんの?」

「火曜と木曜と、金曜と日曜日だよ。」

「そんな行ってるのかw大変だな、まぁ俺も似たようなもんだけど。」

「そうなの?」

「俺は火曜と金曜と日曜、ダンス行ってるぜ。月曜は英語だ。」

「大変だね。」

「まぁ、ダンスは好きだからな。英語は無理やり行かされてるだけだ。」

「そうなの?」

「そう、かーちゃんにな。行かなきゃダンス辞めさせるって文句言われるんだよ。」

「そうなんだ。」

私はそんな和也を想像して、ちょっと可笑しく思った。

いつも凛と憎まれ口を言い合っている和也からは、それは簡単に想像出来る。

「じゃあ、今日は一緒に行けるな。送ってくよ。」

「ダンス何時からなの?」

「7時半からだよ。」

「そんなに遅いんだ。」

「そうか?ってか、かなうの家って門限あるの?」

「門限?」

「そう、夜何時に帰らないとダメとか?」


私はそう言われてふと考えてみたけれど、特に何時までに帰れとは言われた事はなかった。
だけれど、遅く帰ることがない私には分からなかった。