「かなうも一緒に寝よ~」

凛は目を閉じたままそう言って、私に擦り寄った。

「風邪引いてたんでしょ?かなう身体弱そうだもんね。」

凛はそう言って微かに笑ったけれど、どうやら本気で眠いらしい。

「マジで寝るなら帰れよ凛。」

「和也がかなう襲ったら困るから帰らないし。」

「しねぇよ。」

「は?どの口が言ってんの?」

「かなうが嫌がることはしねぇよ。」

和也はそう言って、凛と私に占領されて狭くなったベッドを立って机の椅子に移動した。

少し離れた和也の顔を見ると、自然と視線が合った。

優しく弧を描く唇に思わず視線がいってしまう。
さっきはいきなり過ぎて何とも思わなかったけれど、その唇に触れたことを急に思い出し、何だか無性に恥ずかしくなった。

キスをする事には抵抗は全くないし、多分普通の子よりもその回数は多いだろうけれど、挨拶でキスをするのとも、シオンとする意味のないキスとはまた違う。

優しく触れるだけのキスなのに、何故かどんなキスよりもとても温かくて思い出すと急に胸が騒がしくなった。


「かなう今日は何時に帰れば良いの?」

私の胸の高鳴りには気付いていないようで、和也はいつもと変わらずにそう言った。