人間誰しもそういう時はあるだろうし、それに和也の見た目ならきっと女性から言い寄られることが自然なことだと思った。
だから、女性に対して多少横柄な態度になってしまうのは仕方がない事だと思う。
「それでも凛は、俺たちにとって特別だったんだ。正直俺からしたら兄妹みたいなもんだし、愁も祐希も晃も多分そう思って接してたんだよ。」
「うん。」
「だけど、さ。ある日から、凛が学校で俺達を避けるようになったんだ。顔見てもシカトだし、話しかけてもシカトだし、とにかく俺らが近づこうとすると逃げるし、だけど溜まり場では普通だし、スクールで会っても普通だし、俺らは馬鹿だったから当然意味が分からなかったよ。」
私は何て言っていいのか分からなかったので、黙ったまま和也を見上げた。
目が合うと、和也は少し寂しそうな顔をしていた。
「凛は一学期が終わる頃から学校にもあんまり来なくなったんだ。心配だったし何度も家行ったりもしたけど、凛はあんまり会ってくれなかった。理由聞いたら男が出来たって言ってたから、俺もあまりしつこく聞かなかったんだ。」
何だか、とても複雑な気分だった。
自分の知らない凛の一面。
それはなんだか少しだけ心配になってしまった。