私は支度を終えると、いつもより少し早めに自宅を出る事にした。
リビングに寄って挨拶していこうか凄く迷ったけれど、流石に無視して出かける勇気は持ち合わせて居なかったので、渋々リビングに向かった。
扉の前で軽く深呼吸したけれど、微かに笑い声が聞こえたので私はゆっくりとその扉を開けた。
顔だけで覗き込むと、ママとレオンとシオンは一緒にテーブルに着いて何やら楽しそうに談笑している。
シオンは相変わらず無表情だったけれど、レオンとママは何だかいつもと同じ雰囲気に戻っていた。
そこにはさっきまでの気まずい空気はなくて、私は安心していつも通りに声を掛けた。
「学校行って来ます。」
「あら、もう行く時間?」
私の声に気付いた3人が、一斉にこちらに視線を向けたけれど、私はママだけに視線を向けた。
なんとなくだけれど、シオンと視線を合わせるのが怖かった。
ママは立ち上がって、玄関まで私を見送りに来てくれた。
「じゃあ、具合悪くなったら、ちゃんと帰っていらっしゃいね。」
ママはそう言って、いつもの様に私の頬にキスをする。
「うん。行って来ます。」
私もママの頬にキスをして、笑顔で玄関を出た。