「あら、アンナ?大丈夫なの?」


ドアを開けた音に気付いたのか、ママが振り返って私を見る。


「うん、もう大丈夫そう。」

「無理しないで良いのよ?」

「大丈夫だよ。」

私がそう言うと、ママは私の隣にやってきて私のおでこに手を当てた。

「熱はもうなさそうね。でも、もう1日くらいゆっくりしたら?」

いつもなら、ママの言うとおりに休んでしまおうと思うところだけれど、今日は約束がある。
私は密かにその約束が楽しみだったりしていたので、ママに悟られないように注意しながら言葉を選んだ。

「凛が心配してたから、具合悪くなったら早退しようかな。」

私がそう言うと、ママはあっさりと登校を許可してくれた。

「そうね、折角遊んだのに次の日に風邪なんて引いたら心配しちゃうわよね。分かったわ、具合悪くなったらちゃんと早退していらっしゃいね。」

ママに嘘を吐くのは何だか気が引けたけれど、正直言って凛にも一昨日のお礼をきちんと言いたかったし、会いたかったのでそう言っておくことにした。

凛はきっとまたお昼くらいには学校に来るだろうから、その頃に私も学校に行こうと単純にそう思った。