そしてその後、もし具合が良くなかったら必ず連絡を入れると約束して、私達は電話を切った。
私は通話を終えると、なんだかほっとしてそのままベッドに仰向けに倒れこんだ。
なんだか、昨日から色々な事があって頭の中がパンクしてしまいそうだった。
ひょっとしたら、熱を出したのもそれが原因だったのかもしれないと少しだけ感じたけれど、多分シオンに言われた通り、私は体力がないだけなのかもしれないとも思う。
静かな室内は、時計の秒針が動く音だけが私の耳に聴こえてくる。
いつもは気にならないはずのその音が、なぜか妙に耳障りだった。
まだ眠るには早い時間だったけれど、誰も居ない今のうちに寝る支度をしてしまおうと、私はゆっくりと起き上がり部屋を出た。
そしてさっとシャワーを浴びて、歯を磨いて部屋に戻った。
部屋でその長い髪を丁寧に乾かしてから、明日の学校の支度を済ませてベッドに潜り込む。
薄暗い室内で、私はふとシオンの事を思い出し、あの女の人の事を考えた。
途端によからぬ想像が頭を過ぎり、私は枕に顔を埋めた。
しっかりと目を閉じて、その想像を必死に掻き消す。
こうすれば何も見えない。
見たくないものは、見なければ良い、と呪文のように頭の中で繰り返しているうちに、私はいつの間にか眠りに落ちていた。
この日は結局私が眠りにつくまで、誰も帰宅はしなかった。