「39、2度か・・・。」

「病院連れてった方が良いかしらね?」


朦朧とする意識の中でそんな声が聴こえてきて、私はゆっくりと目を開いた。

途端に視界がぐらぐらと揺れた気がしたけれど、それは徐々に治まった。

視界がクリアになると、自分を覗き込む2人の顔がぼんやりと分かった。


「今、動かすと、アンナが辛いんじゃない?」

「そうね、少し様子見ましょうか。ちょっと、氷枕作ってくるわ。」


行かないでママ・・・。
と言葉にしたかったけれど、その思いは届かなかった。


「・・・大丈夫か?」

その人はそう言って、優しく私の髪を撫でる。
その仕草になんだかおかしな感情が込み上げてきたけれど、私は小さく頷く。

そして痛む頭で、自分が置かれている状況を考えた。

起きた時から何かおかしかった。
リビングに行ったはずだけれど?

リビングに行った後どうしたんだっけ?
未だはっきりしない頭で色々と考えると、途端に吐き気が込み上げてくる。

ダメだ。


「お前、倒れたんだよ。」

私の髪を撫でながら、シオンが面倒臭そうにそう言った。