「あー、めんどくせぇ。シオンこれの答え教えて。」
「・・・・自分でやれ。」
「だってわかんねぇんだもん。」
「・・・知るか。自分で調べろ。」
同じ声なのに、不思議と違う気がするのは多分声というよりも話し方なんだろうと思う。
落ち着いて、抑揚のない声音で話すシオンと、はっきりと、自分勝手に言いたい事を言うレオン。
そんな二人はどうやら朝から勉強をしているらしい。
「二人ともご飯は?」
私は冷蔵庫を開けながら、適当な野菜と卵なんかを取り出した。
「食う!」
レオンは即答すると、教科書をテーブルに叩き付けた。
どうやら、レオンはもう勉強に飽きているようだった。
シオンの声は聞こえなかったので、ちらりとシオンに視線を向けると、目が合った。
昨日の事が一瞬頭を過ぎったけれど、シオンの視線はいつもと変わらなかった。
シオンは相変わらず無表情で軽く頷くと、すぐにまた視線をそらしてノートに何やら書き込み始めた。
それは食べるという事だと解釈した私は、3人分の食事を作り始めた。