私はそんな二人のやりとりを、無言で聞きながら朝食を作り終えた。

「別に学業に差し支えてないからいいじゃん。あーちゃん、コーヒー頂戴。」


お皿に今出来たばかりのサンドイッチを盛り付けていると、レオンに声を掛けられたので、私は食器棚からカップを取り出した。


「自分でやりなさい!」


ママに一喝されて、レオンは渋々と立ち上がり私の持っているカップを受け取って、さっさとコーヒーを入れた。


「あーちゃんも飲む?」


レオンがそう私に聞いてくれたので、私は微笑んで頷いた。

ママとレオンはよく言い争いをしたり、さっきみたいな話をしたりしているけれど、基本的に喧嘩をすることはないので、場の空気が悪くなることはない。

普通に見れば、ただ仲の良い親子にしか見えないのだから、私は何も口も出さずに、二人の会話を聞いていることが多い。

レオンは基本的に誰に対してもフレンドリーなので、よく女性に勘違いされることがあるようで、ママはいつもレオンの女性関係によく怒っている。

私はもう慣れっこだけれど、確かにレオンみたいな人に抱きしめられたりすれば、女性はコロっと騙されてしまうのかもしれない、思った。