翌朝、といっても4時間くらい眠ったところで私は目を覚ました。
窓から差し込む光が、仄かに暖かく私の部屋を照らしている。

久々に夢を見ることもなく目覚めた私は、相変わらず寝不足だったけれど、頭はいつもよりすっきりしていた。

私はベッドを抜け出すと、パジャマの上にパーカーを羽織って部屋を出た。
バスルームに行って身支度を済ますと、朝食の用意をしようとリビングに向かう。

時間はお昼少し前だったので、おそらくママもそろそろ起きてくるはずだった。


土曜日は基本、五十嵐さんは来ない。
理由は私が一日家に居ることが多いからだ。


リビングの扉を開けると、大きなソファからだらしなく投げ出された足が視界に映る。
相変わらず長いその足を視線で辿ると、案の定レオンがソファでスヤスヤと眠っている。

私は自分のパーカーを脱ぐと、そっとレオンに近づき冷えないようにそのパーカーをレオンに掛けた。


その瞬間、ぐいっと腕を引かれてレオンの胸元に引き寄せられる。
おかげで私は鼻からレオンの胸の辺りに倒れこんだ。

「おはようアンナ。」

目を閉じたままレオンが言う。

「・・・・起きてたの?」

「今、アンナの匂いがしたから起きた。」

「ちゃんと、ベッドで寝ないと風邪引くよ?」


私がそう言うと、レオンはゆっくりと私の腕を離す。
軽くぶつけた鼻が痛かったけれど、開放された私はそのままキッチンに向かう。